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1998年2月4日 エルサルバドル 国立プレジデンテ劇場

2/4「ディアリオ・デ・オイ」紙

(ジャネット・シエンフエゴス・オチョア記者)

「日本の太鼓が響く」

曜と火曜の両日夜、サン・サルバドルで「天邪鬼」の太鼓コンサートが行われ、今までに見たこともない最も素晴らしいコンサートのひとつとなった。公演はコンサートを見に集まった大勢の観客の入場を待つために予定より若干遅れて始まった。午後7時半、文化庁のロベルト・ガリシア長官及び岩元克在エル・サルバドル日本大使の挨拶の後、太鼓が響き始めた。最初の曲から、渡辺洋一リーダー率いる「天邪鬼」の8人の演奏家(他にスタッフ2人)たちは、個性豊かな楽器(太鼓)演奏の素晴らしい技術だけでなく、伝統豊かな悠久の文化に根ざした経験も観客に示した。3人の若い女性と5人の男性の演奏家は日本の伝統音楽に対する情熱に溢れ、それぞれの楽器を演奏する際のエネルギーたるや目を見張るものがあった。

「バラエティーに富んだ演目」

「天邪鬼」によって行われた全ての演目は、日本の生活習慣と関わりをもつものであった。演奏家たちは、大きさの異なる太鼓の演奏によって、自然とその自然に対する人間の営みに関係した様々な活動を呼び覚ました。例えば、「春雷太鼓」では、演奏家たちは時に激しく、弱く、また、遠のいていく春の雷の乾いた響きを表現し、力強い太鼓によって表現される異なった音を通じて並外れた巧みさを見せつけた。公演では約10の演目が行われた。演目の中でも特に観客の興味を引いたのは寿獅子で、魔除けの獅子が新年に各家庭をまわるという日本の習慣に基づくものである。メンバーの一人が操る獅子は、音に合わせて愛嬌ある動きで踊り始める。舞台上での演技の後、獅子は観客席へ降り、何人かの観客の頭に牙を当てて幸運をもたらすという仕草を行った。また、演目の中には津軽三味線という3本の弦からなるリュート又はギターのような楽器で木のばちを使って演奏するものもあった。三味線奏者が演奏している間に伝統的な着物を着た愛嬌ある二人の踊り子が冬の津軽の厳しい日々をモチーフに踊りを披露した。このように、演目が次から次へと行われ、最後に大太鼓といわれる一番大きな太鼓が演奏家のもてる全ての力を使って演奏された。「天邪鬼」はサン・サルバドルで最も素晴らしい夜をもたらしてくれた。エル・サルバドル国民は当地でこれまで行われた最も素晴らしいコンサートのひとつとなった今回の「天邪鬼」コンサートを実現した日本政府に盛大な拍手をもって感謝する。

同じ記者による「天邪鬼」コンサートに対するコメント(上記記者の横の記事)

月曜と火曜に日本の太鼓のコンサートが行われた。劇場は満員であった。ロベルト・ガリシア文化庁長官は満員の観客を見て、集まった観客に感謝するのみならず、いつも劇場が今回のコンサートのように満員にならないことを嘆いた。毎日頻繁に起こる暴力に嫌気がさしているエル・サルバドル人にとって、今回のような国際的なレベルの日本グループの公演は日本政府からの素晴らしい贈り物となった。今回の平和祭典での二つの素晴らしい公演(ひとつは「天邪鬼」の公演)からは、内容は異なったが、同様の結論が導かれた。ここでは、エル・サルバドル国民が健全に余暇を楽しむ必要がある。(これは借金を抱えている時はなおさら難しくなるが)というメッセージを強調したい。プレジデンテ劇場を満杯にし、これ程までに満足した観客を見る機会は滅多にない。このような機会を目の当たりにする度に考えることは、エル・サルバドル政府の力だけでは国民全ての要求に応えることはできないことを残念に思う。ここ最近の平和祭典は芸術的に質の高い公演が行われ、これも偏に友好国の後援によって可能となったものである。これは質の高い公演を実現するための重要なオプションであると考える。願わくば、当国の芸術を振興するための学校ができればと思ったいる。国民が真に必要としているものを提供する必要がある。この意味で、今回のような質の高い太鼓グループを紹介してくれた日本政府に心から感謝申し上げる。