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ブラジル公演2004

ブラジル公演を終え

代表 渡辺 洋一

天邪鬼を代表し、今回のブラジル公演における感想を申し述べたいと思います。 このブラジル公演は、我々にとって非常に有意義であった公演となりました。そしてこの公演を通じ痛感した点は、ブラジルの国内において、風土、考え方、また人との接し方などの違いが三国三様であり、今後それらを踏まえての協力や支援を行うことが肝要ではないかということです。

ジャイカのシニアボランティアで既に二年間派遣されている小田氏のご苦労は、並々ならぬご努力の賜物だと容易に推測が出来ました。ブラジルは広大で、それらを一つにまとめて事業や行事を行うには、まだかなりの時間を要するように感じられました。が、良い点も沢山ありました。その一つは子供達の純粋性で、その目の輝きは日本ではなかなか見られなくなった子供らしさの表れであり、それが随所に見られたことは、大変気持ちの良いものでした。

ただし、使用している太鼓がとても演奏用といえるものではなく、楽器に関してのみならず、各団体の父兄や、またそれに賛同している企業なりに、提案しなければならない問題が山積みされていると感じました。

ブラジル太鼓連盟ができても、自分たちが深く考え、その主旨をよく理解し、まずは自分達の力で一つ一つ難題をクリアし、どうしても財団の力が必要となった時、より一層充実したブラジル太鼓連盟が出来上がっていくのではと、そう思わずにはいられませんでした。

今回の全ての公演は大成功だったと思いますが、しかしその半分は初めて日本の太鼓を見た驚きの反響であり、他のチームが行き、演奏してもさして変わりはなかったのではないかとも思います。 ただし、継続して良い演奏家を派遣して行かなければ、子供達の将来は閉ざされると言っても過言ではないと思います。これからも引き続き、ブラジルに新しい風を巻き起こし、和太鼓の中にある大和魂(アイデンティティー)、日本人の心を受け継いでいって欲しいと心より願っております。

今回の公演を実現させていただいた、(財)日本太鼓連盟の塩見理事長をはじめ、現地で二年に渡り実りある指導をされた小田氏、そしてこれらの事業に関わった全ての人に感謝します。本当にありがとうございました。

なお我々の事で恐縮ではありますが、世界遺産であるイグアスの滝を視察し、自然の驚異を目の当たりにしたとき、“自分が何て小さな事に目を向けて生きてきたのだ”と、それこそ身も心も全て洗い流された気持ちになり、これからの人生を大事に有意義に生きようと心から思えた一時でした。この貴重な機会を与えていただきました事にも深く感謝しております。

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太鼓という絆

小川 ひろみ

5月31日より6月14日まで、私達、太鼓集団 天邪鬼はブラジル太鼓協会設立・(財)日本太鼓連盟ブラジル支部設立記念コンサートのため御地に赴きました。

(財)日本太鼓連盟のブラジル支部が設立されるということは、なんと素晴らしいことでしょう。日本の太鼓が世界へと発信され、今まさに多くの絆が結ばれようとしています。

ブラジルには古くから日系の方々が多く住んでおられ、日本の文化が独特の形で受け継がれていると聞き及んではおりましたが、私自身が生涯の道として選んだ“太鼓”という楽器が、日本とブラジルの人々を繋ぐ新しい太い絆となることに、深い感動を覚えての旅となりました。この数年、日本でも邦楽器が学校教育の中で見直され、和太鼓自体が授業に取り入れられるようになり、それにより今まで楽器としての地位の低かった、和太鼓の新の可能性や音楽性が広く知られるようになったと思います。それが日本のみならず、こうして世界へと発信されることに、新しい可能性がまた大きく広がってゆくのではないかと思います。

今回ブラジルでは、私たち天邪鬼コンサートの前に、現地で活動をする太鼓チームの演奏が披露されました。各地ともジュニアのチームでありましたが、太鼓に対する情熱、意気込み、そして何よりも太鼓が“好き”であることは日本の太鼓打ちと全く変わりのないものでした。日本の曲をアレンジした楽曲を組み入れたり、またブラジルならではのサンバの踊りを加えたりと、新しい太鼓の形を見せていただきました。太鼓がその土地、土地で風土や環境によって進化してゆく。これは日本でも同じことであり、これから先、ここブラジルでも同様に独自の形を作り上げてゆくのだと彼らの演奏を聴き、痛感いたしました。ただ問題は、日本の太鼓の本質をどこまで理解し、習得させ、そしてどのように進化させるのかという点であります。日本の和太鼓の本質を確かに継承させつつ、そして独自に進化をさせることが、遠く離れた地でも今後末永く人々に愛される太鼓音楽になるのではないかと思います。

私たち天邪鬼のコンサートには多くの観客の方々が来場くださり、そして多くの拍手喝采を戴きました。コンサート後には現地の方々に“本当の太鼓の音を聞かせていただきました!”と声をかけていただき、そして太鼓を演奏していた子供たちが目をキラキラと輝かせ“私も天邪鬼さんのような太鼓打ちになるように頑張ります!”と伝えられ、“感動しました!この感動をブラジルのほかの人たちにも与えてください!”とのメールも各地で受け取りました。

和太鼓は鼓動の音楽です。言葉を越え、人種を越え、国を越え、人の身体に直接訴えることのできる楽器です。各地での大成功を収めた演奏は、自分たちが日本とブラジルを結ぶ一端を担うことができたという確信につながりました。私にとっても、天邪鬼にとってもそして引いては日本の太鼓界にとっても、大きな意義のあるコンサートだったと確信しております。

今回(財)日本太鼓連盟ブラジル支部に加盟した団体は50数団体だったと聞いております。この多くの団体を結成、指導をされたjicaシニアボランティアにて2年間赴いておられた小田幸久氏と、この2週間の旅程を同行させていただきました。その間に、この2年の間のご苦労、指導方針、国による考え方の違い等々、多くのことを聞かせていただきました。

まず太鼓という楽器の製作から試行錯誤を繰り返し、楽器の大切さを教え、先生と生徒の関係を教え、そして仲間との連帯感を教え・・・と日本では当たり前にあるものを一から理解させ、納得させ、習得させていかれたそうです。お話を聞いただけで気の遠くなるようなご苦労があったことと推察されます。今日、ブラジル太鼓協会が設立された陰には、小田氏のそれこそ寝食を忘れ、太鼓をブラジルに息づく音楽にしていこうという大きな志の元での2年間の日々を於いては為し得なかったことだと思います。小田氏の太鼓を想う気持ち、ご苦労、ご努力に改めて感服しております。

旅の最後の地、サンパウロにて、ブラジル太鼓協会さん主催のレセプションにおいてメンバーそれぞれに“絆”というTシャツを戴きました。この“絆”という言葉こそが今回のブラジル公演の目的であり、今後の日本とブラジルを結ぶ太鼓音楽の目的であります。その“絆”の一端を担えたこと、そして日本より遠く離れた地球の反対の地、ブラジルにおいて私たちの愛してやまぬ太鼓という楽器によって新しい“絆”が結ばれたことに深く感動を覚えた経験となりました。

最後になりましたが、この貴重であり、大切な任務の機会を私たちに与えてくださった(財)日本太鼓連盟と多くの関係者の方々に深く感謝しております。

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ブラジル公演で感じたこと

川名真由美

今年2月、(財)日本太鼓連盟ブラジル支部 ブラジル太鼓協会が発足されました。

その記念公演として、私たち天邪鬼は、5月31日~6月14日の日程で リオデジャネイロ・マリンガ・サンパウロの3ヵ所において、5回の公演を行ってまいりました。

ブラジルでの和太鼓人気は高く、会場は毎回満員御礼、大勢のお客様がいらして下さいました。

私たちは、今回のツアーで、たくさんの日系人の方々と知り合うことができました。行く先々で、私たちは彼らから手厚い歓迎を受けました。日本食の差し入れや、様々なケア、温かいお心遣いをいただきました。日系3世や4世である彼らの多くは日本を訪れた事がありません。日本の情報は、両親や祖父母、テレビなどから見聞きするだけ。彼らが日本に対する思いは複雑で、日本人でありながら日本の地を踏んだことが無い、日本人でありながら日本の文化を知らない。 自分のルーツを迷いながら生きている彼らに対して、日本文化を紹介できたことは、ほんとうに意味深いことでした。

今回は特に、日系人の彼らに日本の芸能に少しでも多く触れてもらいたいという思いがあったので、演目の中に、津軽三味線と民謡を入れました。津軽の音色に想いを馳せ、民謡の唄声に心震わせ、遠い日本の郷愁に酔いしれる。太鼓のパワーを感じて明日への活力にしてほしい。これには、そんな私たちからのエールがありました。太鼓はバチで打つものではなく、心で打つものだと、師匠から常々言われておりますが、今回ほど、そう強く思って舞台に立ったことはありません。

彼らが私たちの太鼓を見て、魂 -Soul- を感じてくれたなら・・・ 。

私は今回、自分が日本人であり、和太鼓を生業としてこられたことに、改めて大きな喜びを感じました。

毎公演の1部では、地元の太鼓グループの演奏を見ることができました。
どのグループも発足して2年足らずだそうですが、一生懸命頑張っている姿が見受けられました。
ブラジルの太鼓は、これから大きな発展をしてゆくことでしょう。
マリンガでは、すき焼きパーティに招待されました。マーガリン風味のちょっとこってりとしたすき焼きです。日本のすき焼きとはまったく違う感じです。そう、日本から移民した人々は、実際のすき焼きがどんな食べ物かを知らなかったのです。高級なすき焼きを食べられるほど裕福な暮らしはしておらず、想像の上でこんな感じだろう!ということで、すき焼きを広めていったのだそうです。しかし、今や現地の人たちにすき焼きは大人気。1000枚ものチケットがあっという間に無くなってしまいます。
すき焼きは、もはや日本とは違う“ブラジル流すき焼き”として定着しているのです。

和太鼓でも同じことが起こるかもしれません。考えるとちょっと恐ろしいことですが。。。
アメリカにはアメリカ流の太鼓が、ブラジルにはブラジル流の太鼓があって良し、それぞれの地でそれぞれの風土や風習によって変わっていく和太鼓のスタイルも、結構それはそれで魅力的だったりするかもしれません?ブラジル和太鼓は、日本の太鼓に近づいてくるのか、それともブラジル流になってしまうのか!

日本の太鼓を正しく広めてゆくためには、定期的な公演や講習会を行うことが最も重要なことであり、また常に、新しい情報を与えて続けられる情況をつくることが、必要でしょう。
それには、今回発足したブラジル太鼓協会が大きな役割を果たしくれることを期待しています。

2週間の短いツアーでしたが、日系人の方々と触れ合うことで、自分自身を見つめなおすことができました。そして、イグアスの滝や、三国国境地点、コルコバードの丘で見た美しい景色は一生心に残る思い出になりました。ありがとうございました。(財)日本太鼓連盟 塩見理事長はじめ、同行してくださった大澤氏、印出氏に厚く御礼申し上げます。

また、私たちがベストな演奏をするために必要な、3尺長胴太鼓を始めとする様々な種類の楽器を全て現地に持ち込ませてくださったことに、心から感謝しております。

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ブラジル公演

涌井 晴美

私達天邪鬼は今回の公演で初めてブラジルに足を踏み入れることになり、リオデジャネイロ・マリンガ・サンパウロの地で演奏させていただきました。

それぞれの公演では私たちの出演前に地元の若手チームが太鼓演奏を行いました。全く日本文化に触れたことのない若者達が正反対の土地ブラジルで太鼓を学んでいる。それを伝える側も受取る側にも相当な苦労と努力に根気を要したかと思います。聞いたところによりますと、初めは教わる側が教える側に対して敬意を表するどころか「何故指示されなきゃならないの?」という身構えだったと伺いました。お国柄でしょうが人との接し方も友達同士のような感覚で、後輩が先輩を敬う気持ちなどは持ち合わせていなかったようです。(現在の日本でも失われつつありますが・・・)

日本・太鼓道を伝えるにはまずはそこからのスタートとの事でした。しかし今回2年経過後の彼らの演奏を拝見させていただきましたが、演奏中の真剣な眼差しや曲と曲との転換時の立ち振る舞いなど、教えに真っ直ぐに取り組んできた姿を映し出しており又公演前後の屈託のない表情を見ますと、太鼓を打つことやそれを取り巻く環境を無理なく伸び伸びと楽しんでいるように感じました。彼らの演目の中にはブラジルならではのサンバを感じさせる曲調もあり、また紙吹雪を散らし華やかさを演出するチームもありました。

そして私達の公演ですがお蔭様をもちまして、熱い声援とスタンディングオーベーションの中終演させていただくことができました。そして演目の中に私の民謡もありましたが、お歳を召された方は民謡を通し背景に日本を感じて喜んでいただきとても嬉しく感じた次第です。日系の方が多く在住するブラジルで日本を代表して公演させていただいたこと、とても感謝いたしております。そしてこれを機に、ブラジルの和太鼓界がより大きく発展されますことを願い、両国親善の小さな“架け橋”の一つになれたのなら大変幸せに思います。

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ブラジルツアー感想文

影山 伊作

近代における世界情勢の中で日本国家に様々な期待・使命が圧し掛かっています。平和を推薦する世界のリーダーとして、あるいは貧困などの社会問題に取り組む先進国として、日本が今後世界にどのような形で貢献していくのか国民一人一人が考えなければならない時代になってきました。

国際社会の中で私が太鼓奏者としてどのように世界へ貢献できるのだろうか?それは太鼓を通して日本の心を表現し、伝えることであると同時に、日本人として恥ずかしくない振る舞いをすることであります。和太鼓の良さを伝え、日本の礼儀や精神を伝えるのが太鼓奏者としての使命であると思います。

日本を代表していると言う自覚、そして大事な事を伝えなければいけない使命は相当な重圧であり、最大の名誉でもあります。プレッシャーの中で精一杯演奏した結果、会場が沸いてスタンディングオベーションになった瞬間、文化や言葉の違いを越えて日本の心が伝わったのだと実感し、本当に安心しました。

今回のツアーは「伝える」と言う大きな目的がありましたが私も様々な経験をさせていただき、多くの事を吸収する事ができました。ブラジルの雰囲気、人や街の風情など新鮮で印象的であり、イグアスの滝に打たれ、リオデジャネイロのキリスト像を見上げた瞬間は私にとって意味深長で生涯忘れない思い出となりました。

ブラジル支部設立は太鼓を通じて日本が世界に発信していく足掛かりであり、非常に意義のあるプロジェクトであります。このような偉大なるプロジェクトに参加させていただいた事、感謝申し上げます。しかし、ブラジル支部設立は終点ではなく、出発点であります。ブラジル支部にとっても、自分にとっても、勝負はこれから始まるのであり、これからブラジルに限らず世界に太鼓を通じて大和魂を伝え、私の太鼓奏者としての使命を果たして行きたいと思います。

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感想文

渡辺 大介

今回ブラジルの公演に参加させて頂き、その事を誇りに思い、私は幸せに感じています。自分がこれから太鼓の道を歩んで行く上で、大切なことや必要なものをたくさん得る事が出来ました。これを生かし日々精進して行きたいと思います。本当にありがとうござました。

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世界を視野に入れる和太鼓

澤田 成右衛門

今回の太鼓連盟・天邪鬼ブラジル公演旅行に参加させていただいて実感し、驚いたのは、和太鼓がすでに世界を視野に入れた活動に入っている・・・という事実でした。

和太鼓という芸能が、世界中どこへ行っても高い評価を受けるという事実は、すでによく知ってはいましたが、演奏者の派遣は言うまでもなく、指導者の派遣・海外での組織づくりなど、ワールドワイドな活動を展開しているということに、とても感動いたしました。

このような高度な活動を展開している日本の音楽芸能は、他には見当たらないのではないかと思います。

例えば民謡・三味線に関して言えば、ひたすら国内の演奏者・後継者の減少を食い止めることに力を注がなくてはならないという状況にあり、個人の演奏者の活動以外に「海外」という視野はほとんどあり得ないのが現状です。和太鼓と共に比較的若い演奏者が多いと言われている津軽三味線でも、個人の演奏者の活動以外、このような高度な海外展開という視野は持ちえていません。 こうした伝統邦楽のみならず、そもそも日本の音楽文化自体が(個人の演奏者の活動以外)、積極的に海外に発信し展開するという力と意識を、あまり持っていなかったようにも思います。

伝統音楽が積極的に海外に展開するということは、日本人が自分たちの伝統の力に自ら気づく大いなるチャンスでもあります。外に向けて発信し展開するということは、海外の人々のみならず、日本国内の人々に向けて発信するということでもあります。

和太鼓が変えるかもしれない・・・と感じます。

ブラジルで見たあの子供たちの中から次の指導者が現われるでしょう。日本を凌ぐ演奏者すら現われるかもしれません。日本の若者達ものんびりしてはいられません。

まだまだ修行中で経験の浅い自分が、今回こうした和太鼓の高度な活動に同行させていただいたということは、大いなる喜びです。

自分の演奏や力の至らぬ部分、勉強しなければならない部分を実感すると共に、三味線をはじめ他の音楽芸能も、ぜひ和太鼓に続かなくてはならないと強く感じました。

チャンスを与えてくださった太鼓連盟・天邪鬼の皆様方に感謝いたします。
いずれこのご恩返しをいたしたいと思います。
ありがとうございました。

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